初心者でもヨガ哲学が圧倒的にわかりやすくなる学び方とは?

ヨガ哲学は、難しいのでしょうか?
たしかに、古代のインドで発展した哲学ですから、現代に生きる日本人の私たちにはとっつきにくいものです。
しかし、学び方次第で、とてもわかりやすくなるんです。
今日は、ヨガ指導者でもある私が、試行錯誤の末につかんだ「最短でヨガ哲学が理解できる勉強方法」をお伝えします。
ヨガ哲学が難しいと思っている人、ヨガ哲学初心者さん、ヨガインストラクターを目指している人に読んでいただけると嬉しいです。
ヨガ哲学は『ヨーガスートラ』から始める
ヨガ哲学を効率よく学びたい人は、教典『ヨーガスートラ』から読み始めます。
なぜならば、ヨガの定義・実践方法を明快に提示した最初の教典が、『ヨーガスートラ』だからです。
日本語訳が何冊か刊行されています。
私のおススメの本は、「ヨーガスートラ」全文掲載のおすすめ本は、この5冊! で紹介しています。
参考になさってくださいね。
なお、ヨガ指導者を目指している人は、『ヨーガスートラ』以外に読んでおきたい文献があります。
以下の順番で読むと、ヨガ哲学の全容が分かりやすいです。
- 『ヨーガ・スートラ』
→サーンキヤ哲学を背景としたヨガの理論、理論実践としての古典ヨガを理解する。 - 『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』
→タントラの影響を受けて形成された「ハタヨーガ」の実践書。伝統的なアーサナ・プラーナーヤーマなどの具体的な技法について理解する。
※『ゲーランダ・サンヒター』と比較しながら読むのも興味深いです。 - 『ヴァガヴァッド・ギーター』
→大叙事詩『マハーバーラタ』の一部でヒンドゥー教の教典。ヨーガの定義が『ヨーガスートラ』とは異なるニュアンスであることを確認しておく。
ちなみに、3つの文献は成立年代(古い)順に
『ヴァガヴァッド・ギーター』→『ヨーガ・スートラ』→『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』という位置づけになります。
なお、『ウパニシャッド』を読むかどうかですが、私は、必須ではないと思います。
インドの身体観・解脱願望などの独特の背景思想について、直接確認したい人は読まれるとよいでしょう。
ダイジェスト版の『タットヴァボーダ』が手ごろです。
重要単語はサンスクリット音のまま覚えよう

さて、『ヨーガスートラ』の本を手に入れました。
読んでみて、どうでしょう。
とっつきにくいと感じると思います。
それもそのはず、『ヨーガスートラ』は、もともとサンスクリット語の詩節型式で書かれていますし、日本人にはなじみのない概念や用語が満載です。
ヨガに独特の用語は、内容が想像しにくい仏教の漢語があてられたり、意訳されたりします。
日本語訳のみで読み進めると、ヨガ哲学がより難しいものに感じられます。
まるで、登場人物が多い小説を、それぞれの人物の名前とキャラクターが一致しないまま、読み進めているようなものです。
何が起こっているのかが分からず、ワクワク感も面白さもありません。
結局はいつのまにか本を閉じるか、眠ってしまうかで、読了できません。
ですから、『ヨーガスートラ』を読み進める際は、重要単語は固有の言葉としてサンスクリット音(おん)のまま覚えるようにします。
例えば、 『ヨーガスートラ』第1章2節です。
ヨーガス チッタブルッティ ニローダハ *
*『やさしく学ぶヨガ哲学 ヨーガスートラ』
ヨーガとは心の活動を一時的に停止させることである **
**世界の名著1『バラモン教典・原始仏典』
まず、キーワードである「チッタブルッティ」は、「チッタ・ブルッティ」というサンスクリット音のまま、固有名詞として覚えます。
そして、その意味は「心の活動」と覚えます。
このように、ヨガ固有の単語は、音と意味をセットで覚え、理解します。
例えば、「コンサルティング」という外来語を、「経営上の問題解決をサポートする業務」という意味で覚え理解するのと同じ要領です。
英語学習では、単語を覚えれば覚えるほど長文読解がスムーズになりますよね。
それと同じで、ヨガ哲学の学びも語彙力を高めることで、圧倒的にストーリーが分かりやすくなるのです。
内容の重要度を把握しメリハリをつけて読む
『ヨーガスートラ』は全編195節。
インド哲学の教典としては短い方といわれますが、初心者さんにとっては情報が多いと感じることでしょう。
そこで、単語や詩節の重要度を把握してメリハリをつけて読み進めます。
すると、『ヨーガスートラ』のメッセージが分かりやすくなります。
前述のように、第1章2節で語られる「チッタ」「ブルッティ」「ニローダ」などは、重要頻出単語です。
ヨガ哲学を学ぶうえで、その他にどんな用語が重要かは、以下の記事でガイドしています。
参考にしてくださると、嬉しいです。
あくまで本編優先。解説は後から読もう

『ヨーガスートラ』の本はたいてい、パタンジャリ編纂の本編195節の対訳と、詩節ごとに著者による解説が掲載されています。
ヨガ哲学をわかりやすく学びたい人は、まず「本編」を学術的に正しく読むことです。
語彙力向上と、論理の解明に焦点を当てるべきです。
ただし、「解説」で補足される情報は理解の助けになります。
特にヴィヤーサの註解など、伝統ある註釈書が引用されている場合は、読んでおくとよいでしょう。
しかし、著者の私見・持論や考察部分は、後から読むようにしましょう。
著者の思想的・実践的な立場によっては、解説で論じられる情報と本編とのつじつまが合いません。
本編と直接関係のない古今東西の事象と結びつける解説部分は、要注意です。
ただし、この方法で難しいと感じた人は、第2章から読み始めるといいですよ!
第2章部分は成立年代が古く、内容的に重要かつ、筋が通っているので頭に入りやすいです。
今すぐ『ヨーガスートラ』を手に取ろう!
いかがでしたでか?
ヨガ哲学をわかりやすくする勉強の仕方は、以下の4つです。
- ヨガ哲学は『ヨーガスートラ』から始めよう
- 重要単語はサンスクリット音のまま覚えよう
- 内容の重要度を把握しメリハリをつけて読んでみよう
- 本編重視。解説部分は後から読もう
ヨガ哲学の初心者さんは、『ヨーガスートラ』の第2章から読み始めるといいですよ。
最後になりますが、ヨガ哲学は、それまでなじみのなかった異文化の思想です。
少しずつ、段階的に勉強していきましょう!
ヨガ哲学が、あなたの日常に、癒しや希望をもたらしてくれますように。

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参考文献
- 『世界の名著1バラモン教典 原始仏典』中央公論社 (1969/5/30)
- 『解説ヨーガスートラ』佐保田鶴治 著 平川出版社(1983/8/10)
- 『やさしく学ぶヨガ哲学 ヨーガスートラ』 向田みお著 アンダーザライトヨガスクールYOGA BOOKS (2015/3/1)
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