プラーナーヤーマの練習方法|ヨーガスートラ 2章50節

ヨーガ・スートラ2章50節 プラーナーヤーマの練習方法

ヨガの根本経典「ヨーガスートラ」を、一節ずつ声に出し、意味を覚えるシリーズ「まいにちスートラ」です。

今日子

ヨガ哲学がわからない、難しい、と感じてしまう人は多いものです。実は私も、そうでした。
このブログでは、私の十数年に及ぶヨガ指導の経験を活かしつつ、ヨガ哲学をわかりやすく、やさしく、時短で解説していきます。

前回の記事・第2章49節では、プラーナーヤーマ(呼吸法)の定義を確認しました。
なんと、「ヨーガスートラ」時代のプラーナーヤーマは、吸う息と吐く息の流れを断つ、つまりは、息が止まることだと定義されました。
続く第2章50節では、プラーナーヤーマのより具体的な練習方法、深め方が説明されます。

ヨーガスートラ2章50節|プラーナーヤーマの実践方法

音|2-50

bāhyābhyantarastambhavṛttirdeśakālasaṃkhyābhiḥ paridṛṣṭo dīrghasūkṣmaḥ

バーヒャ アービャンタラ スタンバ ヴルッティル デーシャ カーラ サンキャービヒ パリドルシュトー ディールガ スークシュマハ

https://youtube.com/clip/Ugkx3Tj7_tKTQ0AmFd2MVpwswD1e8s9m2kZr?si=dsqd-UBvkibEQrcX

言葉|2-50

bāhya-ābhyantara-stambha-vṛttiḥ-deśa-kāla-saṃkhyābhiḥ paridṛṣṭah dīrgha-sūkṣmaḥ

  • bāhya:外の、外部の
  • abhyantara:内の、近い、親しい
  • stambha:停止、硬直、固定
  • vṛtti:活動、作用、働き
  • deśa:地点、場所
  • kāla:季節、時、機会
  • saṃkhyā:数、数字、計算
  • paridṛṣṭa:見られた、知覚された、学ばれた、知られた
  • dīrgha:長い、深い、高い、永続する、長期間の
  • sūkṣma:微細な、小さい、薄い、狭い、繊細な、鋭敏な、原子の

意味|2-50

呼気後・吸気後・停止というプラーナーヤーマの作用が、場所・長さ・回数で規定され、長く微細なものになる

  ※吸気:吸う息 ※呼気:吐く息

プラーナーヤーマとは本来、息止めだった!

「ヨーガスートラ」第2章49節において、”prāṇāyāma(プラーナーヤーマ)”は、「アーサナが完成した状態で、吸気(吸う息)と呼気(吐く息)の流れを断つ」ことだと定義されました。

今日子

呼吸の流れを断つ、つまりは「息止め」。
プラーナーヤーマはチャレンジングな修行だったのですね。

続く50節では、プラーナーヤーマ(息止め)のバリエーション3つ、練習の管理方法、方向性が説明されます。ヴィヤーサの註解とともに見ていきましょう。

「ヨーガスートラ」プラーナーヤーマ練習・3つのバリエーション

  1. bāhya(バーヒャ):体外的。呼気(吐く息)の後で、息の流れが無い場合。
  2. abhyantara(アビャンタラ):体内的。吸気(吸う息)の後で、息の流れが無い場合。
  3. stambha(スタンバ):停止。一度の努力によって呼気・吸気の流れがない場合。

そして、上記の息止めの練習は、上記3つのバリエーションにおいて、以下の3つの観点で管理していきます。

「ヨーガスートラ」プラーナーヤーマ練習・3つの観点

  1. deśa(デーシャ):場所、空間。(一回換気量?)
  2. kāla(カーラ):時間。(呼吸、あるいは息止めにかける時間的な長さ?)
  3. saṃkhyā(サンキャー):回数。(プラーナの上昇にかかる鼻孔による呼吸回数?)

プラーナーヤーマの3つのバリエーション、3つの観点による管理によって、プラーナーヤーマの実践強度は、1)穏やかなもの、2)中程度のもの、3)激しいもの となります。

今日子

プラーナーヤーマの練習は、最初は穏やかなレベルからステップアップしていく、ということですね。

そして、プラーナーヤーマ習熟の目安となる方向性は、以下の2つ。

「ヨーガスートラ」プラーナーヤーマ練習の方向性

  1. dīrgha(ディールガ):長い
  2. sūkṣma(スークシュマ):微細

プラーナーヤーマは、やがては静かに細く長くなっていく、という方向性です。

今日子

“prāṇa(プラーナ)” を ”āyāma(アーヤーマ:伸ばし広げる)” という、言葉のイメージ通りですね。

まとめ|ヨーガスートラ2章50節

「ヨーガスートラ」第2章50節では、プラーナーヤーマ(呼吸法)の練習方法が述べられました。

プラーナーヤーマは、息止めが起きるタイミングが、呼気後・吸気後・呼吸停止中という3つのバリエーションがあり、練習は、場所・長さ・回数の3つの観点で管理され、やがては長く微細な状態を目指します。

今日子

プラーナーヤーマの実践は、呼吸器を少しずつ開発し、生理反応を飼い慣らしていく必要がありそうですね。

深い海に潜水し、一息でどれだけ水中に潜ることができるのかを競う「フリーダイビング」を連想させます。

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それでは、本日はここまで。次回をお楽しみに。

参考文献・資料

  • 世界大百科事典 第2版 
  • まんどぅーかのサンスクリット・ページ WEBマルチ梵語辞典
  • Sage Patanjali’s Yogasutras – Chanting by Dr Rajani Pradhan
    Youtube動画、広告表示あり。女性の声。
  • 『サンスクリット全解 ヨーガ・スートラ「講義」 附:ヨーガスートラを読むためのサンスクリット講義』 菅原誠 NextPublishing Authors Press (2021)
  • 『Certificate of Yoga Professionals: Official Guidebook』  Excel Books (2016)
  • 『図説ヨーガ・スートラ』 伊藤 武 出帆新社 (2016)
  • 『やさしく学ぶヨガ哲学 ヨーガスートラ』 向井田みお アンダーザライト (2015)
  • 『ヨーガ・スートラ パタンジャリ哲学の精髄 原典・全訳・注釈付』 アニル・ヴィディヤーランカール(著), 中島巖(編訳) 東方出版 (2014)
  • 『インテグラル・ヨーガ―パタンジャリのヨーガ・スートラ』 スワミ・サッチダーナンダ めるくまーる (2008)
  • 『ヨーガとサーンキヤの思想』 中村元 春秋社 (1996)
  • 『解説ヨーガ・スートラ』 佐保田鶴治 平川出版社 (1983)
  • 『ヨーガ書註解 – 試訳と研究 』 本多恵 平楽寺書店 (1978)
  • 『中公バックス世界の名著1バラモン教典・原始仏典』  中央公論社 (1969)

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