ディヤーナ(瞑想)とは?|ヨーガスートラ3章2節

ヨーガスートラ3章2節 ディヤーナ(瞑想)の定義

「ヨーガスートラ」から、アシュターンガ・ヨーガ(ヨガ八支則)に関するスートラを確認しています。

前回の第3章1節では、ヨガ八支則のうちの六つ目・ダーラナー(集中)の定義が述べられました。
ダーラナー(集中)とは、チッタ(心の活動)を一つの対象に繋ぎ止めることでした。
そして、ヨガ八支則のうちの七つ目・ディヤーナ(瞑想)の定義についてのスートラへと続きます。

ヨーガスートラ第3章2節|ディヤーナ(瞑想)の定義

音|3-2

tatra pratyayaikatānatā dhyānam

タットラ プラッティヤヤイカターナター ディヤーナン

言葉|3-2

tatra pratyaya-ekatānatā dhyānam

  • tatra:そこに、その場合に
  • pratyaya:信頼、信念、確信、概念、想念、観念、知性
  • ekatānatā:唯一の対象に専心する
  • dhyāna:瞑想、熟慮、静慮、禅

意味|3-2

ダーラナー(集中)の対象に、プラッティヤヤ(想念)が一筋に流れ続けるのがディヤーナ(瞑想)である

ディヤーナとは「プラッティヤヤ」の「エーカターナター」である!

「ヨーガスートラ」第3章2節で、ディヤーナの定義が述べられました。
サンスクリットを直訳すると、「そこにプラッティヤヤをエーカターナターするのがディヤーナ」となります。

まず、「そこに」というのは、どの場所のことでしょうか。
スートラの流れから言って、第3章1節・ダーラナー(集中)の定義において言及された、「チッタ(心)をバンダする(繋ぎ止める)対象の場所」のことだとするのが、妥当かと思います。

ヨガ哲学における「プラッティヤヤ」とは?

次に、”pratyaya(プラッティヤヤ、もしくは プラティヤヤ)”について見ていきましょう。
”pratyaya(プラッティヤヤ)”の日本語訳には、先行する「ヨーガスートラ」の研究において、「観念」「想念」「意識作用」「認識作用」などがあります。
観念とは、あるものについて抱く意識内容です。
また、想念とは、心に考え思うこと、心に浮かぶ思い・考えのことです。

今日子

ヨーガスートラにおいて、心は”citta(チッタ)”という概念で表されるのはご存じの通り。

”pratyaya(プラッティヤヤ)”とは、チッタというスクリーンに映る映像です。

”pratyaya(プラッティヤヤ)”は、私たちがあれや、これやと頭に思い浮かべる時の「浮かんだ景色」、つまりは「心の表象」だと捉えると解りやすいでしょう。

「エーカターナター」とは?

“ekatānatā(エーカターナター)”の辞書のうえでの意味は、「唯一の対象に専心する」です。

“eka(エーカ)”は、一、ひとつ、という意味。
“tāna(ターナ)”は、糸、繊維または、延長、拡張という意味です。
“tāna”に、”tā”という接尾語がついた”tānatā(ターナター)”で、延長性、拡張性、伸張性といった意味になります。

以上のことから、ディヤーナ(瞑想)とは、ダーラナーにおいてチッタをバンダした(心を繋ぎ止めた)ひとつの対象に向かって、思いを一筋に伸ばしていくこということになります。

ひとつの対象にチッタをバンダする、ダーラナーという集中状態を、連続して続けていく、ひとつのことに注意を注ぎ続けているのが、ディヤーナ(瞑想)です。

まとめ|ヨーガスートラ3章2節

ヨーガスートラ第3章2節では、ヨガ八支則のうち7つめの部門「ディヤーナ(瞑想)」が定義されました。

ディヤーナとは、チッタ(心)を一か所の対象に結び付ける「ダーラナー(集中)」状態を、意図的に絶え間ない流れのように連続的に持続させることです。

今日子

ヨガの瞑想とは、まさに「一点集中をしつくす」という実践なのですね!

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それでは、本日はここまで。次回をお楽しみに。

参考文献・資料

  • Sage Patanjali’s Yogasutras – Chanting by Dr Rajani Pradhan
    Youtube動画、広告表示あり。女性の声。
  • 『サンスクリット全解 ヨーガ・スートラ「講義」 附:ヨーガスートラを読むためのサンスクリット講義』 菅原誠 NextPublishing Authors Press (2021)
  • 『Certificate of Yoga Professionals: Official Guidebook』  Excel Books (2016)
  • 『図説ヨーガ・スートラ』 伊藤 武 出帆新社 (2016)
  • 『やさしく学ぶヨガ哲学 ヨーガスートラ』 向井田みお アンダーザライト (2015)
  • 『ヨーガ・スートラ パタンジャリ哲学の精髄 原典・全訳・注釈付』 アニル・ヴィディヤーランカール(著), 中島巖(編訳) 東方出版 (2014)
  • 『漢訳対照 梵和大辞典』 荻原雲来, 鈴木学術財団  山喜房佛書林 (2012)
  • 『インテグラル・ヨーガ―パタンジャリのヨーガ・スートラ』 スワミ・サッチダーナンダ めるくまーる (2008)
  • 『ヨーガとサーンキヤの思想』 中村元 春秋社 (1996)
  • 『解説ヨーガ・スートラ』 佐保田鶴治 平川出版社 (1983)
  • 『ヨーガ書註解 – 試訳と研究 』 本多恵 平楽寺書店 (1978)
  • 『中公バックス世界の名著1バラモン教典・原始仏典』  中央公論社 (1969)

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