ダーラナー(集中)とは?|ヨーガスートラ3章1節
「ヨーガスートラ」から、アシュターンガ・ヨーガ(ヨガ八支則)に関するスートラを確認しています。
第3章「ヴィブーティ・パーダ(能力部門)」に入ります。
前回の第2章55節では、プラティヤーハーラ(制感)の効果が述べられました。
この節で第2章は終わり第3章に入るわけですが、文脈は第2章55節から続いています。
ヨーガスートラ第3章1節|ダーラナー(集中)の定義
音|3-1
deśabandhacittasya dhāraṇā
デーシャ バンダ チッタッスィヤ ダーラナー
言葉|3-1
deśa-bandhaḥ-cittasya dhāraṇā
- deśa:地点、場所
- bandha:結ぶこと、締めること、縛ること、束縛、架け橋、絆、帯
- cittasya:チッタの、心の、注意の
- dhāraṇā:ダーラナー、集中、総持、凝念、心の集中、1つの対象に集中すること
意味|3-1
チッタ(心)を一つの対象に繋ぎ止めるのが、ダーラナー(集中)である
ダーラナー(集中)とは、チッタの「バンダ」である!
ヨーガスートラ第3章1節では、ヨガ八支則のうち6つめの部門「ダーラナー(集中)」が定義されました。
チッタを一か所に結び付けることが「ダーラナー(集中)」です。
「凝念」という訳語が示すように、まさに「一点集中」することです。
「チッタ」とは、ヨーガの主題となる精神作用のことでした。
チッタには、心、注意、思考、精神など、様々な意味があります。
「チッタ・ヴルッティ」で「チッタ(心)の活動」という意味になります。
「ヨーガスートラ」では、揺らぎやすい「チッタ・ヴルッティ」をいかに鎮めていくか、が語られます。
「チッタ・ヴルッティ」とヨーガの主題については、ヨーガスートラ第1章2節でおさらいしてくださいね。
「結びつける」というのは、「バンダ」という語です。
ヨギーにおなじみ、ハタヨーガのテクニック、あの「バンダ」と同じです。
- ムーラ・バンダ:骨盤底筋群の収縮維持
- ウディヤナ・バンダ:横隔膜の収縮維持
- ジャランダラ・バンダ:頸椎屈曲の維持(喉の締め付け)
プラーナーヤーマのクンバカのフェーズで行うものです。
チッタをバンダする場所、対象について、ヴィヤーサが註解で具体的に6つ例示しています。
- 臍の輪
- 心臓の蓮華
- 頭の光
- 鼻の頂
- 舌の先などの場所
- そのほかの対象
まとめ|ヨーガスートラ3章1節
ダーラナー(集中)とは、チッタ(精神)を一つの対象に繋ぎ止めること。
注意を集中させる対象は、自身の身体の一部などです。
ダーラナーに関して「ヨーガスートラ」で語られるのは定義のみで、効果には言及されません。
流れるように次の部門「ディヤーナ(瞑想)」へと移っていきます。
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それでは、本日はここまで。次回をお楽しみに。
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参考文献・資料
- Sage Patanjali’s Yogasutras – Chanting by Dr Rajani Pradhan
Youtube動画、広告表示あり。女性の声。 - 『サンスクリット全解 ヨーガ・スートラ「講義」 附:ヨーガスートラを読むためのサンスクリット講義』 菅原誠 NextPublishing Authors Press (2021)
- 『Certificate of Yoga Professionals: Official Guidebook』 Excel Books (2016)
- 『図説ヨーガ・スートラ』 伊藤 武 出帆新社 (2016)
- 『やさしく学ぶヨガ哲学 ヨーガスートラ』 向井田みお アンダーザライト (2015)
- 『ヨーガ・スートラ パタンジャリ哲学の精髄 原典・全訳・注釈付』 アニル・ヴィディヤーランカール(著), 中島巖(編訳) 東方出版 (2014)
- 『漢訳対照 梵和大辞典』 荻原雲来, 鈴木学術財団 山喜房佛書林 (2012)
- 『インテグラル・ヨーガ―パタンジャリのヨーガ・スートラ』 スワミ・サッチダーナンダ めるくまーる (2008)
- 『ヨーガとサーンキヤの思想』 中村元 春秋社 (1996)
- 『解説ヨーガ・スートラ』 佐保田鶴治 平川出版社 (1983)
- 『ヨーガ書註解 – 試訳と研究 』 本多恵 平楽寺書店 (1978)
- 『中公バックス世界の名著1バラモン教典・原始仏典』 中央公論社 (1969)
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