ヨガアライアンスの更新をする?しない?後悔しない選び方

ヨガアライアンスの更新をする?しない?後悔しない選び方

ヨガインストラクターを養成しているヨガスクールはいくつかありますが、最もメジャーなのは、ヨガアライアンス認定校(RYS: Registered Yoga School)でしょう。
RYSでのカリキュラムを修了した人は、アメリカにあるヨガ団体「ヨガアライアンス」に登録すると、ヨガアライアンス認定ヨガ指導者(RYT: Registered Yoga Teacher) を名乗ることができます。

ヨガスクール修了後、ヨガアライアンスに登録するか、しないか、RYTと名乗るかどうかは自分で決めます。
ヨガ指導を始める人は、修了後の流れとして初年度は登録する人が多いようです。

そして、1年後…。新米インストラクターとして活動している頃、ヨガアライアンスから継続更新のお知らせが来ます。
そこで、継続の更新をするか、しないか、ちょっと考えてしまうんですよね。

「毎年、更新にお金がかかるけど、売上に直結しないって聞くし…」
「周りの先生は更新していないみたい…」

このように迷ったとき、何を基準に決めていけばよいのでしょうか。

今日は、今後RYTの更新を続けるべきかどうか検討している人に、後悔しない選択をするためのヒントを、ヨガインストラクターの立場でお伝えしていきます。

ヨガアライアンスを更新するメリットとは?

まず、RYTは「ヨガの資格」と言われていますが、厳密にはヨガアライアンスという組織からのお墨付きであり、「認定」です。
ヨガを教えるのに、士師業の国家資格のような法的な「資格」は必要ありません。
したがって、RYTをはじめとするいわゆる「ヨガの資格」の保持は、ヨガインストラクターでいるための必須条件ではありません。

それでも、あえてRYTを更新していくことで、インストラクターにどんなメリットがあるか、考えてみましょう。

更新メリット1:キャリアをたった数文字でアピールできる

ヨガアライアンスの認定システムは、積み上げ方式。
指導・トレーニング時間の加算と、1年ごとの更新を繰り返しながら、認定グレードを上げていく仕組みです。

ヨガアライアンスの認定には、いくつか種類があります。

  • RYT200:200時間のRYSカリキュラムを修了した指導者
  • E-RYT200:RYT200認定から2年以上、1,000時間以上指導した指導者
  • RYT500:合計500時間のRYSカリキュラムを修了後、100時間以上指導した指導者
  • E-RYT500:RYT認定から4年以上、合計2,000時間以上(そのうち500時間はRYT500認定後)指導した指導者

E-RYTというのは、Experienced Registered Yoga Teacher のことで、指導経験が豊富というお墨付きです。
上記以外に、継続指導教育提供者:YACEP、キッズヨガ指導者:RCYT、マタニティヨガ指導者:RPYTといった認定があります。

ヨガインストラクターのプロフィール欄でよく見かける「RYT200修了」というのは、たんにRYSを修了した人。
「RYT200」というのは、RYS修了後、ヨガアライアンスに登録した人。
しかし、「E-RYT200」「RYT500」「E-RYT500」となってくると、少し印象が変わってきます。
ヨガ指導者としての本気度を、対外的にアピールする力はありそうです。
たった数文字のアルファベットと数字で、キャリアや気概を表現できるというインパクトはあなどれないものがあります。

更新メリット2:年1度の更新でキャリアを俯瞰できる

RYTを保持するには、1年ごとの更新が必要です。
その条件は、以下のとおり。

  1. ヨガアライアンスの倫理規定の遵守
  2. ヨガアライアンスのヨガセラピーポリシーの遵守
  3. 規定の継続教育を3年ごと完了する
    ※継続教育(CE:Continuing Education)
    3年間の間に、45時間以上のヨガ指導・30時間以上のトレーニングを完了すること。
  4. 年間更新料$65を支払う

3.の継続教育は、RYTとしての質を保つために設けられたもの。
具体的な指導歴やトレーニング歴は、ヨガアライアンスのマイページ上に、自己申告で登録していきます。

ヨガインストラクターを本業にするということは、レギュラークラスを持って週に何本もレッスンをして、毎週毎週、祝日も、正月休み以外はずっと続ける、という生活に入ることです。
そんなルーチンのなかで、指導歴やトレーニング歴の登録は、自分がこの1年、どのようなクラスをどのぐらい指導してきたかを見える化し、積み上げたキャリアを振り返る機会になるでしょう。

更新メリット3:ヨガアライアンス認定校(RYS)のリードトレーナーになれる

2022年2月、ヨガアライアンスはヨガアライアンス認定校(RYS)の要件を厳しくしました。
例えば、RYT200の養成講座の指導者・リードトレーナー(LT)は、必ずE-RYT500でなくてはいけません。
さらに、200時間のカリキュラムのうち150時間以上は、リードトレーナーが指導しなくてはいけません。
ヨガアライアンス認定校としての運営を維持したいヨガスクールは、E-RYT500保持者を雇う必要があるのです。

つまり、言い換えれば、E-RYT500になれば、指導者養成講座にリードトレーナーとして関われるかもしれない、ということです。
リードトレーナーになると、ヨガを教える対象が、一般のお客様から、ヨガインストラクターを目指す人やよりヨガを深めたい人に変わります。
教える形式が、60分、70分間のヨガのレッスンから、指導者養成のための講義や実習、演習に変わります。
教える内容は、ヨガとは何か、インストラクションの方法、レッスンの作り方、アーサナの詳細や解剖生理学、ヨガ哲学などになります。
仕事の幅を広げることにつながりますし、専門性が高くなるので報酬も高くなります。

更新メリット4:ヨガインストラクターのための保険が割引に

RYT保持者は、ヨガインストラクターのための損害賠償保険「ヨガ安全指導員」の年会費が2割引になります。

  • 初年度登録料:26,000円→20,800円(5200円引)
  • 継続更新料:20,000円→16,000円(4000円引)

特典を受けるには、ヨガアライアンス発行のRegistry Cardのデータを提出します。
ただし、このヨガの保険に加入しない人にとってはメリットにはなりません。

RYTを更新した方がいい人は、こんな人!

ヨガ業界でヨガアライアンスのブランド力や価値がしばらくは優勢だと考えていて、将来、指導者養成の仕事をしてみたいと思っている人は、RYTを更新し、アップグレードしていかれるのが良いでしょう。

ヨガアライアンスを更新するデメリットとは?

私の同僚の先生方の多くは、ヨガアライアンス認定校(RYS)を修了しています。
そして、いったんはヨガアライアンスに登録するものの、もう更新していない、という人もいます。
つまり、更新するメリットがないと判断されたのです。
これは一体どういうことなのでしょうか。
更新のデメリットについて、考えていきましょう。

更新のデメリット:費用対効果が見込めない

RYTを更新しない理由は、効果がない、意味がない、これにつきるのではないでしょうか。

ヨガアライアンスの年間更新料は$65。
2023年2月現在、日本円にして8500円程度で1年間、RYTを保持できます。
しかし、この支出に見合う売上が必ず見込めるかというと、難しいところです。

金銭面での直接のメリットは、現状は前述の「ヨガ安全指導員」の年会費が2割引になるぐらい。

RYT保持者はオーディションで有利と思われがちですが、決してそんなことはありません。

スタジオやクラブが求める人材は、

  • 組織の価値観を共有・体現し、円滑な運営に貢献し、組織に利益をもたらす人
  • 質の高いレッスンでお客様を満足・感動させ、集客・顧客維持できる人

といったところでしょうか。

RYT保持が、オーディションの履歴書審査で担当者に良い印象を与え、オーディションに呼んでもらえることはあっても、合格・採用となるかどうかは、面談や実技の出来、つまり実力次第ということになります。

お客様、生徒さんも同様です。特に一般の人は、ヨガアライアンスやRYTのことを知りません。
ヨガの世界ですごい資格を持っていたとしても、レッスンや人柄に魅力がなければ、リピートはありません。

インストラクターの立場からすれば、RYTに認定されるとロゴマークや Registry Card が発行されるので、ヒトの欲求として、つい揃えたくなってしまいますよね。
経験を積んでアップグレードすると嬉しいですし、自信になります。

しかし! 周りの人は決してそうは見ません。
肩書ではなく実力がモノを言うのは、ヨガの世界も同じなのです。

RYTを更新しなくていい人は、こんな人!

ヨガアライアンス認定のヨガスクールを修了したけどヨガを仕事にする予定がない人、費用対効果を重視する人、今後ヨガアライアンスのブランドや価値が相対的に低下すると予想する人、指導者養成の仕事に興味がない人は、RYTの更新はしなくても良いでしょう。

事例:ヨガアライアンスに課金し続けた私の現在地

さて、私は2010年にRYSを修了し、2011年にRYT200を取得、それ以降、更新とアップグレードを続けてRYTを保持してきました。
更新して良かった点や注意点は、RYT更新のメリット、デメリットでお伝えした通りです。

2011年当時の私は、ヨガの需要やヨガアライアンスのブランド力はさらに成長すると思っていました。
また、養成講座の受講で人生がガラリと変わったので、いつかは、養成講座の仕事に関われたらいいな…と思っていました。
ですので、ヨガアライアンスのビジネス戦略にあえて「乗る」方を選びました。
かれこれ10年以上、更新料は投資だと割り切って、ヨガアライアンスに課金し続けてきました。

10年後の2021年、巡り合わせで、ヨガアライアンス認定校(RYS)のリードトレーナーになりました。
そのヨガスクールの担当者は、「E-RYT500の先生で、会社にマッチする人で、講座開発ができる人を探し出すのに苦労した」とおっしゃっていました。
ヨガスクールには、拠点とする地域があり、守っていきたいコンセプトがあります。
そういった条件にかなうE-RYT500保持者は、希少な存在だったようです。

ヨガアライアンス登録者のデータを見る

ここで、データを紹介します。
日本でのRYT保持者の人数を、ヨガアライアンスのWebサイトで調べてみました。

  • RYT200(もしくはそれ以上のグレード):2053名
  • E-RYT200(〃):467名
  • RYT500(〃):499名
  • E-RYT500:266名
  • E-RYT500+RPYT:39名
  • E-RYT500+RCYT:20名
    ※2023年2月初旬、筆者調べ。

これを見て分かるように、日本でのRYT登録者は2000名と少し。
そのうち指導・トレーニングと更新を続けてE-RYT200に達した人は約23%。
さらにトレーニング・指導・更新でE-RYT500に達した人は約13%。
なかでも、専門分野:スペシャリティとしてRPYTかRCYTを保持している人は、ぐっと少なくなくなってきて、たったの1-2%。

アライアンスを更新する人は、これらの数字も参考に、キャリア設計してくとよいのではないでしょうか。

まとめ:ヨガアライアンスの更新をするか、しないかは、状況次第。

いかがでしたでしょうか。
ヨガアライアンスの更新をするか、しないかは、インストラクターとしての仕事の仕方や、将来像、ヨガ業界の動向なども鑑みて、ご自分で決めていかれるのがベストです。
ヨガアライアンスのビジネスに、のるか、そるか。
ぜひ、ご自分に合った納得の選択に、この記事が参考になれば幸いです。
そしてその後は、肩書など忘れて、目の前の生徒さんに喜んでいただけるよう、ヨガの指導に全集中してまいりましょう。

参考資料

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